雨宮処凛の「オールニートニッポン」 (祥伝社新書)

「雨宮処凛の「オールニートニッポン」 (祥伝社新書)」雨宮 処凛祥伝社

アマゾン購入感想

おちゃらけが強すぎます「プレカリアート」で正しい問題提起をした著者ですが、本書ではそのようなワーキングプア問題を、著名人との対談形式で進めていきます。ところが、「お笑いのネタ」としてワーキングプア問題を語ろうとする人がいるなど、ここに出てくる対談者の質が悪く、問題の本質がぶれてしまった点が残念です。

台本もない、ラジオでの即興が元になっているので、仕方がないと言えばそうなんでしょうが、せっかくの重たいテーマがおちゃらけで薄まってしまっては、著者の意図する結論にはならないと思いました。

他人の不幸話を読んで、心の安らぎを得る自分に唖然。 前々から薄々感じてはいたのだが、ここまで明白に意識するともはやごまかせない。この手の「不幸せな人たち」の話を読むことが、「自分なんてまだマシな方だな〜」って気にさせてくれて、癒しにつながっている。この本なんてまさにその機能がフルに発揮される本だ。
 でも一方で、現在の日本社会の仕組みに対する憤りは著者(&対談者達)と共有出来る。「まずは自民党を政権から引き摺り下ろすべき」とは強く思った。とりあえず今日の知事選には処凛ちゃん推薦の共産党候補に入れよーっと(^o^)/

日本人は皆 ニート。 ニートというのは「働かない若者」の代名詞のように扱われています。
 しかし、実はこれは、若者批判の流行語に過ぎません。
 以前はパラサイトシングルなんて言葉もありました。
 いずれも、教育の問題とか、家庭の問題に還元されてきました。
 しかし、ニートの上昇は不景気とともに上昇します。
 雇用環境の悪化に比例して増えています。
 そこからしてこれは、ニートは労働問題です。
 そして、労働問題をジコセキニンにすりかえるための用語、それがニートです。
 また、そももそ、外国でニートというのは19歳までが対象です。
 日本で就業を諦めている若者の場合は34歳までということです。
 34歳までの日本でニートと呼ぶのは、定義からしておかしいことになります。
 「若年失業者」と呼ぶべきです。
 この本にはいろいろとこのおかしな世相に苦しめられた人が登場します。
 みんな素直すぎます。
 だから辛いんですね。
 だって、社会が大切なものを隠したり、騙したり、努力しても這い上がれないようにさせているわけです。
 これは生存権の問題です。
 しかし、生存権という言葉も若者はあまり知っていないんですね。
 そういうことを教育しない社会。
 弱者に手を差し伸べない社会。
 それでも、怒らないのは教育の成果なのかもしれませんが。
 気づいたら詐欺会社に就職してしまっていたり、体罰体質の会社に就職したり、高卒だったり、転職した会社が倒産したり、過労死寸前で自己都合退職したり、自己責任ではない場合がいろいろ、人生の路線を踏み外すことはありますが、でもこれは不可抗力の場合が多い。
 そういうケースにたまたまなっていない方も読むべきです。
 カイカク(改革)と証する世界的なワーキングプアと餓死を引き起こす新自由主義にたいして疑問を抱くためにも、読むと良い本です。
 もし、今でも改革のためにと叫び、今まで存在していた落ち着きある「庶民の生活」を根底から踏みにじる可能性、兆しを予感させる、そんな政治家がいたら、それこそ弱者を挫き強気を助ける・・・それは本当に「人の皮」をかぶった、忍び寄る「魔」なのです。

繊細であること 時間があること人から求められる「仕事」がないのは苦しいことです。
人から「仕事」を求められすぎることも苦しいことです。
後者を拒絶して生きる人たちの製作したインターネットラジオ番組が,本になりました。

時間があり,情報に対する鋭敏さが際立つニートな人たち。
バブルの頃なにも考えていなかったかのような若者よりは,格段に深い「話」の語り手です。
なぜ,社会の中に居場所が無いのかを丹念に探ります。その経過で社会の問題と真正面から向き合っていきました。
ついに得られた自分の考えの鼎談が本書です。

ロストジェネレーションのど真ん中で,布団から出られず体質的にはかなりニート寄りな私には,とても切実に感じられた本でした。
競争社会に乗っかってブイブイ言わすのもそれはそれでいい人生なのでしょうが,日々に紛れないで社会人も社会の「おかしさ」について考えて発言したら良いのではないかと思わされました。

現在の華青闘告発 左翼っぽく書いてみたい。

 大昔、日本の左翼は自らを解放し、後に世界を解放する主体であると自認していた。マルクス主義の階級闘争の後景に押しやられた在日中国人は、その主体の資格を問うた。マイノリティーを踏みつけにし、利用して闘争とやらに勝利する資格はあるのか、と。この告発によって、女性問題、民族問題、障害者問題などの階級闘争「外」の課題が新左翼を中心として俎上に登った。しかし、そこにおいてもなお、革命主体(主力)とされたものは、大企業本工や官公労に結集する組織労働者とされた。しかし、彼らは現在、「勝ち組」である。

 現在の産業構造の変化により発生しているワーキングプア、フリーター、そしてニートはそれらの左翼の主力の基盤から零れ落ちている。彼らの声は左翼に届くことはなかった。そのことは、今、そこにある生活の危機よりも政治状況(改憲問題など)を優先させている彼らの機関紙を見れば明らかだ。このような左翼の状況について、この本は特に第四章で鋭く告発している。世間を騒がせた論座の赤木論文への福島みずほらへの批判は、左翼は必読に値すると思う。自らの課題の外にあるものはなきがごとく振舞う左翼。今も昔も本質的には変わらない。

 そして「新しい世界」は、左翼的な政治革命なんぞより、文化・芸術をも孕んだ生活の問題として、社会革命こそ肝要なのだとこの本は訴える。生き方を読者一人一人に考えさせる本でもある。

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