希望格差社会―「負け組」の絶望感が日本を引き裂く (ちくま文庫)
「希望格差社会―「負け組」の絶望感が日本を引き裂く (ちくま文庫)」山田 昌弘筑摩書房
アマゾン購入感想
袋小路・・・昨今の社会論評の書籍を読むたびに、ガッカリさせられるが、本書も正直なところ期待以上のものではなかった。
「人文科学」や「社会科学」はこの程度の内容で評価を得られるのか、
と最近は諦観の境地であるが、だとすれば私自身の認識(期待)の方を修正せねばなるまい。
優秀なレビューアーが正鵠を射ているので反復を避けたいが、
ニューエコノミーを背景にした個人的な「希望」の喪失感に
著者が社会格差の原因を求めているのだとすれば、視野狭窄であると言わざるを得ない。
個人的には「希望格差社会」論は、誤認であると言いたいところだが、
百歩譲っても展開性の乏しい仮説であって、出口は別の場所にあるのではなかろうか。
著者の社会分析には確かにうなずける部分もある。
しかし、複数のレビューに「学者の管見である」との声がある以上、
今以上にフィールドワークを広げる必要があるのではないか。
少なくとも著者が政府(国家)の政策決定に関与しているのならば、
ミスリードによって「亡国の士」と誹られることを覚悟しなくてはならない。
立場のある人が言いたいことを言うが、肝心なところで責任を取らない、
という社会的な体質こそが、社会閉塞感の根源であるのでは無かろうか、という私見を申し添えておきたい。
つぶやきもむなしく・・・日本の現実をまざまざと見せつけられた気がしました。
しかも実際に「予備軍」が私の身の回りにあふれていることに気づき、
さらにおそろしくなりました。
著者が客観的に示すデータが夢のない話のように思えて、心の中で何度も「そんなはずはない!」と苛立ったりもしました。
でもこれがやはり現実なんだと思います。
だからその現実をきっちり受け止めた上で、自分なりの夢を追いかけたいと思いました。
少なくも私の知るプー太郎には一刻も早く、それを伝えたいと思います。
ここが出発点文庫になったことを知ったので再読。やはり名著である。3年の月日を感じさせない。
マスコミの謳う「格差」はキャッチーな面ばかりを報じて、真剣にこの問題を問いかけようとしているとは思えない。
「格差」と聞いてすぐに経済格差やワーキングプアを連想するのは、「下流社会」のようなトンデモ本の罪も大きい。
この本では、現在の生活水準の格差は必ずしも否定しない。一貫して、将来に対する「希望」の格差について言及している。
現在職についている人たちも、かつての日本のように「努力すれば未来は必ず幸せになれる」と信じているのだろうか?
まさに日本全体を覆う「将来に対する唯ぼんやりとした不安」である。
まずはこの書籍からスタートされたい。とても論理的で読みやすいので、学生にもぜひおすすめしたい。
誇張された時代感覚と誤った政策提言 日本の産業構造の変化(ニュー・エコノミーへの移行)を過度に評価する本書の時代認識は、多くの若年格差論の重要な骨格を成しており、この問題を、景気循環的な側面からではなく、歴史的な視座から捉えがちになる原因となっている。
著者がかつて指摘した「パラサイト・シングル」は、豊かさの中に潜む貧困の可能性を指摘したものであり、その慧眼は評価されるべきである。しかし「希望格差」については、1990年代以降の長期不況・デフレの問題を抜きに論じることはできない。高度成長期から既に始まっている経済のグローバル化やサービス化を、1990年代後半以降の事象に当てはめ、過度に問題視する感度には、理解しがたいものがある。
誤った時代認識は、社会政策に対する誤った視点を生むことにつながる。本書が提唱するのは、先進国共通の課題であるニュー・エコノミーが生み出す「希望格差」に対応するため、「個人的対処への公共的支援」(ライシュ)、「リスクや二極化に耐えうる個人を、公共的支援によって作り出」すという、いわば「人間の改造」である。しかし、産業構造の変化が著者が考える以上に緩やかなものであれば、人間の行動は、自然に漸進的にそれに適合する。国家の力で個人を「改造」するという考え方には、危険な一面があることも事実である。
今となっては、やはり学者の分析でしかない現代の格差を「希望格差」であるとし、なぜそれが生じたのかという疑問に、本書はキッパリと明確な回答を用意しており、その点においては評価できる。しかし分析結果をもとにどういうアクションを提示するのかが最も重要で、その点において本書は愚書の類と同一。彼の提言は一面的で表層的で、フリーターの一部の層しか対象としていない、自らフリーターを分析していながら!
こういう対策を行わなければ、若者は「希望」を持つことができず、アディクションに逃避し、さらに「エンビー型」の嫉妬心による犯罪、すなわち「不幸の道連れ」が増えてしまうのだとすれば、「エンビー型」犯罪の究極が赤木氏の「希望は戦争」でしょうか。
赤木氏をはじめとしてして「フリーターを罵倒している」という論調の意味が、何となく分かってきたような気がします。分析は一面正しいのですが、何かがまた抜け落ちているのだなと。
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